カメラマン
佐藤 文
女性カメラマンとして大変だったところはありますか?
重たいものを持たないといけないことです。
アシスタントの頃、ゴルフ中継の仕事があったのですが、天気は雨。
カメラセッティングのために、雨の中ドロドロになりながらケーブルを持って歩かなければいけませんでした。
でも、私は重いもの云々というよりは、仕事がとにかく楽しかったから苦にはなりませんでした。

私自身これまで30年近くやってきたので、女性でもやっていける仕事です。
今は女性カメラマンも増えています。
私がこの業界に入ったときは、まだ女性カメラマンが少なく、私を含め1人や2人くらいでした。
やりたいからやっていたので、男女比をあまり意識したことはなく、ふと「あ、女性カメラマンって少ないんだ」って気づいたくらいです。
その時も不安はあまりなくて、女性カメラマンがあまりいない中でカメラマンとして働けることにむしろワクワクしました。
印象に残っている仕事はありますか?
助産婦さんのドキュメンタリーの取材で、出産に立ち会った仕事です。
スタッフ全員が女性でした。
当時まだ女性カメラマンが少なかったので、私にしかできないということで声がかかりました。
撮影許可が出ているお母さんは何人か決まっていて、そのお母さん達の出産までの待機時間がすごく長かったのを覚えています。
出産はいつ来るものかわからないし、他の仕事に行けなくなるなどスケジュール調整が大変でした。
でも、許可をいただいていたお母さん達全員の出産に無事に立ち合うことができました。
仕事をする上で心がけていることはありますか?
「こだわりを持ってものを見る」ことと「無になって見る」という、両方の視点を持つことを意識しています。
こだわりを持って見たほうがいいものと、あまり考えずに見たほうが良いものの両方があると思います。
それぞれで見え方も見せ方も変わってきます。
こだわりすぎると周りが見えなくなることもあるので、1歩ひいてみたりと工夫しています。
この仕事をしていて嬉しかったことを教えてください
昔、丹波哲郎さんにインタビューに行った時に「今まで何百本も映画に出たけど、女性カメラマンに撮られたのは初めてだ!」と喜んでもらえたのが嬉しかったです。
どんな思いを持って入社してほしいですか?
本当にやりたいかどうかしっかり考えてから来てほしいと思います。
この業界は「辛くなって」辞めてしまう人が多いんです。
でも、好きだったら辛くても乗り越えられると思います。
だから、この仕事を好きになってほしいです。
時間も朝早いし、それが毎日になるときついだとか、自分の時間が無くなって嫌になってしまうとか、確かに辛い仕事ではあります。
辞めてしまう人のほとんどは、アシスタントのままで辞めてしまっています。
でも、何年か我慢してアシスタントを続ければカメラマンになれます。
そのための努力を惜しまず、ぜひ頑張って欲しいです。